989

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-Shinnosukeyamada-

 

今回は新体制になって初めての作品なんですけど、新しいことにも挑戦しつつ自分たちらしさはちゃんと残すっていうのをひとつの自分のテーマにして作りました。ただその制作の背景には自分の人生の中でもかなり大きなターニングポイントになる出来事があって、その経験がこの曲を生み出すきっかけになってます。

曲の意味としてもう二度と戻れない時間だったり、もう会えない人だったりそういう喪失感を心の空白として描いてます。

 

曲名なんですけど、「989」と書いて「くうはく」って読みます。つまり「空白」って意味ですね。
なんて読むの?って思う人も多いと思うんですけど、数字だけの曲名って実は前からちょっと憧れがあって形にすることができました。

個人的にも気に入ってるし見た目もどこか無機質なのが世界観あって良いでしょ。

 

よく時間が解決してくれるとか、忘れれば前を向けるって言うじゃないですか。でも僕は無理に忘れようとしなくてもいいんじゃないかなって思っています。
というより忘れるっていう言葉はちょっと違う気がしていて、もっと近い表現をするなら無意識になるなのかなって。

最初はずっとその人や出来事のことばかり考えてしまうけど、時間が経つと自然と四六時中考えることはなくなっていって気付けば心は少しずつ前を向いてる。
でも、それは忘れたわけじゃなくて大切な思い出として心の奥にそっとしまわれている。そんなイメージです。

 

その人や出来事が残した空白に時間というホコリが少しずつ積もって、いつかそのホコリを払いもう一度その空白と向き合う瞬間、僕たちはいつでもあの頃に戻れるしその人にも心の中で会える。
だからその空白ごと愛してほしい。そんなメッセージを込めてます。

 

歌詞についても、今作は今までと少し作り方を変えています。
これまでは英詞がメインで日本詞をアクセントとして入れることが多かったんですけど、この曲はどうしても思いをまっすぐ届けたかったので日本語をメインに綴っています。
制作中は本当にいろんな日本詞の曲を聴き込んだんですが、英詞とはメロディへの言葉の乗せ方も違うし、言葉選びや歌詞の組み立て方も全然違うしかなり試行錯誤しました。
正直言うとレコーディング当日ギリギリまで書き直していて、「ヤバイヤバイヤバイ」ってずっとヒリついてました。
でも、PikaoやTVSSYが助けてくれたおかげで、自分でも納得できるものになったと思ってます。

 

作曲に関しては、最初のバンドインするところまでは意外とすんなりできたんですけど、その先の展開をどうするかで悩みました。

最終的に今作で初めてツービートを入れてみたんですが、この疾走感が自分の心だけが取り残されたまま、それでも時間だけは容赦なく過ぎていくという感覚をうまく表現できたと思っています。

 

細かいところを挙げたら本当にキリがないんだけどコード進行やピアノ、エフェクト、ギターのアプローチまで自分なりのエモさとノスタルジーをたくさん詰め込みました。

特に1サビ終わりのクリシェ進行から続くピアノのパートは哀愁とか追憶を感じてもらえるように作っていて、
その後ろで流れている公園で遊ぶ子どもたちの声は懐かしさだったりもう戻れない時間を表現したくて入れています。

こうしてこの「989」は出来上がったんだけど、この曲もまた僕にとって愛しくて、大切な一曲です。

もちろん自分が好きだから音楽を作っているし、好きだから表現しているけどせっかく生まれた曲なら一人でも多くの人に聴いてほしい。
例えば僕みたいに行き場のない喪失感を抱えながら、どう気持ちを吐き出せばいいのかわかららない人がいると思う。

この曲を聴いてこのままでもいいのかもしれないとか、心に空いた穴を無理に埋めなくてもいいんだって思えたりしたらこの曲を作った意味があったなと思えます。

 

何かを失うことはきっと避けられないしその痛みも簡単には消えないけれど、その空白は決して悪いものじゃなくて大切だった証だと僕は思ってます。

だからいつかあなたが空白ともう一度向き合える日が来たら、その空白ごと愛してあげてください。

その時、この「989」があなたのそばにいてくれたら嬉しいです。

 

-Pikao-

 

atmosの時にも同じ感情を持ったんだけど、この曲にもそれぞれの日常の一部に溶け込むようなものを感じています。というのもテーマである二度と戻せない時間とかもう会えない人に感じる喪失感はみんなの中に必ず存在するものだと思っていて、そういう後悔すらも肯定してくれるような想いが込められてる気がします。

乗り越えて強くなれよ!ってよりは辛かったねって寄り添ってくれるような。

 

映像があるとより一層イメージ湧きやすいかなと思って今回初めてビジュアライザーを作ってみました。使ってる素材は全部遠征先とかバンドを始める以前のもので構成されてます。その中には意図せずいなくなってしまった友人とか遠い記憶にある家族の時間、その他今の自分を作り上げてる一部になっているものとかで、バンドと自分の中のアルバムを覗いてる気分で見てみてください。

映像に関しては全くの素人だけど、BGMも特に無く淡々と進んでいく映画が好きでそんなイメージで作りました。時間ある時にでも映像と一緒に楽しんでくれたら嬉しいです。

 

サウンド面も前作までと大きく変わっていてよりバンドライクにストレートに音を乗せられていて気に入ってます。

特にギターなんですけど今回初めてSEEK US NEEDのDAIKIにお願いしていて、こっちの無茶振りにも難なく答えてくれて本当に感謝しています。普段あんなズンズンドカドカバキバキした音出してるのにアコギ弾いてるしアルペジオするしで彼の内に秘めてたプレイングにも注目してほしいです。

ベースについては本当に土台を支えることに徹して前に出るところはほどよく出る、みたいなアレンジにしました。弾いてて一番楽しい曲なに?って聞かれたらこれかも。

 

制作の裏話としてはシンノスケが本当に日本詞で苦戦してましたね。当日まで悩んで二人で向かい合いながらああでもないこうでもない言いながら作り上げました。

そういう壁もあったので完成した瞬間今までに無い感情が生まれてたことを覚えてます。

 

これまでずっと失った時間とか人に対しての後悔の念ばかりだったんですけど、それも含めて今の自分を作り上げた一部だし、それも受け入れて行こうと思えるようになりました。

だからこそこの曲を生み出したシンノスケには感謝してるし尊敬してます。

 

たくさん試行錯誤して、なおかつこの曲に自分の考え方も変えられたので自信を持って世に送り出すことができました。昔友達に音楽って形が変わらないからいいよねって話をされたんだけどそれが今ようやくわかった気がします。色々と立場とか状況が変わっても音楽は形を変えずここにいます。それゆえに989を含めて俺らの曲はいつまでもみんなの居場所だから拠り所にしてほしい。

捉え方は人それぞれだけどこの曲を聴いて失った人や過去の後悔、心に空いた穴も愛せるようになったら本望です。

 

-TVSSY-

 

今回の新曲989はデモの段階で聴いた時、今までに触れたことのない新鮮且つ美しい音楽性へのアプローチだと感じました。

今回はあまり触れてこなかった音楽性だったりもしてリファレンスなしでシンプルなドラム、自分のフレーズの癖を一旦排除してみようという意識で挑戦してみました。

制作において個人的に苦戦したところが一サビ後のドラムの箇所でした。
スパイス系なフレーズが欲しいなと感じたので色々試行錯誤して作ってはみたものの上手くハマらなくて、リズム隊の信頼をおけるPikaoに助けてもらいました。そのほかの箇所も助けてもらいながらメロディー含めてドラム以外のリズムに寄り添いながら制作しています。

実際にリハでみんなで合わせて叩いたんですけど、感情が入っちゃうくらい個人的にめっちゃ気に入ってるので是非とも989を聴いて、あなたの心の空白を埋められたらいいなと思ってます。

僕は心の空白が埋められそうです。

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